大人が絵本を読むということ
2020年7月31日（金）

こんにちは。7月の最終日だというのに、ぐずぐずしたお天気が続いていますね。夏のマスク生活は想像以上にしんどいとは分かっていても、おひさまの日差しが恋しい今日この頃です。そのうえこう毎日ずっと落ち着かない日が続いていると、気が滅入らないほうが不思議かもしれません。それなので、できるだけポジティブだったり、前向きなものに目を向けて、探して、近づいて、過ごしていきたいものですね。

さて、今日は絵本の入荷のある日だったのですが、久しぶりにターシャ・テューダーさんのものを入れてみました。『喜びの泉 ターシャ・テューダ―と言葉の花束』（作：ターシャ・テューダー / 食野雅子:訳 / KADOKAWA）

棚に入れる際、中をパラリと見てみると真っ先に目に飛び込んできたのは、「心に平安をもたらすことができるのは、自分しかいない——ラルフ・ウォルドー・エマーソン」の言葉。朝から雷に打たれたような衝撃でした。もともとターシャの本は大好きで、この絵本も自分でもずいぶん前から所有しているのですが、ここまでどーんと直接響いたことに正直びっくりでした。きっと今の自分がこの言葉を必要としていたのだなと。不思議なものですね。

この絵本には、シェークスピアやワーズワースなど偉人たちの言葉が、ターシャの輝きに満ちたぬくもりいっぱいの自然の絵と共に描かれています。そして、まえがきには「この本は物語ではありません。とくに始まりもなければ終わりもなく、訴えたいメッセージもありません。」とあります。

先日、お客様の中に「コロナのせいなのか、たくさんの情報を自分が嫌がってるのか、それともただ歳のせいなのか、最近文字を読んでいてもなかなか活字がなかなか頭の中に入ってこなくてね・・・」とおっしゃっる方がいらっしゃいました。これまでさまざまな経験を乗り越えてきた年代の方々にとっても、これは本当に全く予想だにしない状況で、心穏やかに過ごすほうが難しい毎日です。当然のことだと思います。

そんな時、こうした一冊からきっと元気をもらえるのではと思っています。好きな景色のページを開いて、ただただ眺める。響いた言葉を自分の中でゆっくり繰り返す。自分の肩の力がふーっと抜けるような絵本に出会えると、それだけでこれからの自分を、未来を、喜びに変えて心強く感じていけることでしょう。

もしそのお客様がまたお店にいらっしゃることがあった時には、この絵本のお話しを一緒にできたらいいなと思っています。毎日の小さな喜びを絵本で見つけるきっかけになれたなら、こんなに嬉しいことはありません。

✰この写真は昨年、山梨県北杜市にある「ターシャ・テューダ― ミュージアム ジャパン」を訪れた際のものです。

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